「セウォル号沈没事故」は乗員乗客476名のうち299名が死亡し5名が行方不明という韓国史上最悪の海難事故です。
また、捜索作業にあたった海軍兵士や民間ダイバー、消防職員ら合わせて8名の殉職者を出しています。
このセウォル号沈没事故は、事故後に明らかになった運航会社の杜撰な体制や船長を筆頭にしたクルー達が適切に避難誘導を行わなかった事が被害を大きく拡大させたとして、クルー15人が逮捕される事態となりました。
セウォル号沈没事故の原因
2014年4月15日仁川港から済州島に向けて出港した大型フェリー「セウォル号」が、翌4月16日観梅島沖で転覆沈没し修学旅行中の高校生250人を含む304名が死亡、行方不明になりました。
事故原因として指摘されたのは以下のことです。
- 過積載が日常的に行われており当日も積荷を多くするためバラスト水を通常の4分の1にしていた。
- 積荷もワイヤー等で固定する事なくロープで固定してあるだけだった。
- 事故当時、船長は操舵室に不在で経験の浅い三等航海士が操舵していた。
- 中古で買い取った船に不適切な改造(客室を増設等)を施し船全体のバランスが悪くなっていた。
- 救命ボート固定する器具は錆止め塗装の影響で甲板にくっついてしまっていて使えない状態だった。
- 事故の2ヶ月前に実施された安全点検で、5箇所に不具合があったにも関わらず改善しなかった。
- 事故発生後、海上交通管理センターや海洋警察の指示に従わず乗客に救命胴衣を着用させないままその場に待機させていた。
これだけの事故原因を見るだけで、運航会社、運航クルーの杜撰な運航管理で、起こるべくして起こった人災だと思えてしまいます。
船長以下クルーの罪は
この「セウォル号沈没事故」では、船長らクルーが真っ先に避難したことが、後に激しい非難を受けることになりました。
当時のニュースでも「パンツ」姿で救助される船長が連日報道されていました。
船長である事がバレないようにズボンを脱いでいたんだとか。
他のクルー達も
「救命胴衣を着けていなかったから命の危険があると思い避難した。」
という取って付けたような理由で自分たちだけ避難してました。
クルーの人達は、船体の不具合(救命ボートが固着してしまっている事)を知っていたから先に逃げたんだとも言われています。
とにかく「パンツ」姿で救助された船長がインパクト強すぎて一気に批判が集まりました。
その後、船長のイ・ジュンソクは乗客を救助せず船から逃げたとして殺人罪などで起訴されました。
1審では殺人罪は認められず懲役36年。
続く控訴審では「未必の故意」による殺人罪を認め無期懲役。
そして韓国の最高裁にあたる大法院でも乗客らが死んでも構わないという「未必の故意」による殺人罪を適用した控訴審を支持し無期懲役が確定しました。
大法院が未必の故意を認めて殺人罪を適用したのは今回が初めてのことでした。
他のクルー14人に対する公判では、1審は懲役20~5年と厳しい判決が出たものの控訴審では懲役12年~1年6月といずれも大幅な減刑となました。
大法院でもこれが支持され刑が確定しています。
この大幅な減刑の理由として
「海事安全法や船員法では、船舶の安全や人命救助に関する船長の権限が絶大」
とされているとの理由から船長の刑罰が厳しくなり船員達の刑罰が軽減されたそうです。
韓国世論の反応 『死刑』という同調圧力
1審で殺人罪が認められず懲役36年の有期刑が出たことで、韓国の世論は異常ともいえるバッシングが巻き起こりました。
毎日毎日ニュースではパンツで逃げる姿が映し出され検察が求刑した「死刑」という言葉だけが一人歩きしているようでした。
確かに避難指示を出さなかったり海洋警察の指示に従わなかったり救助協力を申し出たタンカーを断ったりと落ち度はかなりありますが、「死刑」を求める国民全体の同調圧力のようなものを当時のニュースからは感じました。
まとめ
今回は2014年韓国で起きた「セウォル号沈没事故」のパンツで逃げた船長について調べました。
イ船長が現在どこに収監されているかは見つける事ができませんでした。
クルーだけでなく会社全体に問題があり、これは事故ではなく人災、事件ですよね。
最後までご覧いただきありがとうございました。