今回はある日突然殺人犯にされてしまったお笑い芸人
スマイリーキクチさんを紹介します。
たった一人の軽い悪戯から20年以上の地獄の日々が始まってしまいます。
事件の内容と現在のスマイリーさんの活動も併せて紹介します。
スマイリーキクチって何者?
スマイリーキクチさんて最近あまり聞かない芸人さんですよね。
ニコニコしながら毒を吐くブラックユーモアな芸風です。
ボキャブラ天国や爆笑オンエアバトルで活躍していました。
冬のソナタブームのときにはその風貌が「ペ・ヨンジュン」に似ていると話題になり
ものまね番組などで見かけることも多かった記憶があります。
若い頃はヤンキーだった!
スマイリーキクチが元ヤンキーだったという噂ですがこれは事実のようです。
「中学時代のヤンキー姿の写真」が2回ほど放送されたことがあり
「中学は足立区でも屈指の悪い学校だった」
と本人もインタビューで答えています。
小さい頃は空手とボクシングをやっていたそうで腕っぷしは強かったんでしょうね。
中学の時は成績が悪かったそうです。
担任の先生に三者面談で高校じゃなく料理人の道を進められるほどだったんだとか。
高校は偏差値36の学校に進学したと言っていました。
勉強はできなかったのでレスリング推薦で高校へ行ったんだそうです。
実はスマイリーさんはレスリングなんてやったことありませんでした。
持ち前の体が大きさと運動神経で合格したと言っていました。
誹謗中傷事件に巻き込まれる
2ちゃんねるの悪戯から始まった
事件の始まりはスマイリーさんが高校時代に足立区でおきた殺人事件
「女子高生コンクリート詰め事件」
犯罪史上類を見ない凶悪事件です。
その犯人は少年犯罪だったため名前が伏せられていました。
ネットの掲示板2ちゃんねるに犯人一覧という書き込みがあったんです。
そこに誰かが悪戯で「菊池総」って書きこみました。
それを見たネット民は
「スマイリーキクチだ」
「足立区出身だ」
「犯人と歳が一緒だ」
と大炎上。ここから誹謗中傷が始まりました。
掲示板の内容を信じた人からテレビ局とかスポンサーに
「殺人犯をテレビに出すな!」
と苦情が殺到。
決まっていた仕事もどんどんなくなっていったそうです。
また、多いときには殺害予告が1日100件以上も来たんだそうです。
2000年に初めて警察に相談しました。
ネット社会がそこまでまだ国民に浸透していなかったおかげで
一度は誹謗中傷は下火になっていきました。
元刑事が書いた一冊の本から再度炎上
2005年に出版された「治安崩壊」という本。
この本の出版を契機にスマイリーさんへの誹謗中傷が再燃してしまいます。
警視庁の元刑事北芝健さんが執筆された本です。
その中に「女子高生コンクリート詰め事件」について書かれてありました。
「犯人の一人はお笑いコンビとしてデビューした」
後の調べでそんな事実はないことがわかっています。
しかし、2006年から2回目の誹謗中傷の波が来ます。
警察に相談に行きましたが
「ネットを見なきゃいい」
「あなたがネットをやめればいい」
とまともに取り合ってくれなかったんだそうです。
殺人予告があっても「殺されたら捜査してあげるよ」
ネット住民もそうですが、捜査機関もネットリテラシーが低い時代だったんですね。
2008年に事件が動きました。
9年かかってやっとネットの捜査ができる刑事さんに出会ったんです。
捜査が進み書き込みした人物を特定しました。
数人を警察に呼び出し厳重注意をしたんだそうです。
しかし、その中のひとりが警察に呼び出された直後に新たな書き込みを行いました。
「あいつ犯人のくせに警察にチクりやがった」
これで警察もやっと本気になり全国で19人一斉摘発。
ネットの誹謗中傷で摘発されるのは全国初だったそうです。
摘発されたのは至ってどこにでもいるような人たちばかりだったそうです。
現在の活動
スマイリーさんは自分と同じ境遇の人を救う活動をしていましたが、
10年経って加害者も病んでいることに気づいたんだそうです。
被害者を救う活動から加害者を減らす活動へ方向転換しました。
「インターネットヒューマンライツ協会」という組織を設立し啓蒙活動を続けています。
2011年には
「突然、僕は殺人犯にされた~ナット中傷被害を受けた10年間~」
という自叙伝を出版しました。
この本は開成学園の国語の教材として採用されています。
初めての講演会も開成学園で開催し
弁護士や検察になる子がたくさんいる日本一のエリート校。
だから理解してもらえれば大きな一歩になる
と思ったんだそうです。
その時の学園長も
「このお話は今必要な事案なんです。
これからネットをみんなが使う社会になりますから」
「情報に惑わされないようにと子どもたちに伝えたかった」
先見の明のある学園長ですね。
講演会を通じてスマイリーさんの思うことは
小学生はネットの怖さを知らないから話を一生懸命聞く。
中学高校になるとネットの怖さよりも楽しさが上回っちゃう。
年齢が上がるにつれて
自分は大丈夫だと思っている子が増えていくんだそうです。
被害を受けた人への相談には
「自分が幸せになることが相手への仕返しなんですよ」
重い言葉ですよね。
誰かが遊びで書き込んだ言葉が20年経っても消えていません。
未だにスマイリーさんが犯人だと思っている人がいて殺害予告が届くそうです。
これが『デジタルタトゥー』なんですね。
スマイリーさんは決してネット上で喧嘩してはいけないと言います。
それは、ネットの向こうにいる人はどういう人かわからない。
常識が通じない相手かもしれない
だからスルーする力を身に着けよう
そして正義を疑う感性を持ちましょう。
「正疑感」情報が正しいのか、行動が正しいのか見返す
誹謗中傷している人は悪いことをしていると思っていません。
むしろ悪いやつを懲らしめてやるんだ。
と間違った情報を信じて正義を振りかざしていることが多いんです。
最後にスマイリーさんは自分におきた誹謗中傷事件についてこんな事を言っていました。
誹謗中傷されて運が悪い人ですねってよく言われるけど
それがあってすごい良い人達にたくさん出会えた。
ホントに運が良いんだと思います。
まとめ
今回はある日突然殺人犯にされてしまったお笑い芸人
スマイリーキクチさんを紹介しました。
インターネットがすごく身近になっている現在では
いつ自分が被害者や加害者になってもおかしくないですね。
多くの人が正しいネットリテラシーを身に着け上手に向き合っていきたいですね。
最後までご覧いただきありがとうございました。